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ヴィクトルのパートナーに選出されたドミニカは『霊ゾーンより日本国へワープして、世界のパワーバランスを変える秘密機器を奪う重要なミッションである』と指令を受けたが、KGBの特別教官を務めるヴィクトルとならば、簡単に遂行できると考えていた。
「No way?」(まさか?)
平然と仲間に近寄る大和拓郎の肌にうっすらと汗が滲んでいるのを見て、自分と同じくウォーミングアップだったと気付く。
(拓郎は福子の格闘能力を信頼し、初対面の敵は少女と油断するので、勝つ確率は格段にアップすると待合室へ送り込んだ。)
「ユージン・レブノフは?」
「奴に消された。冷酷で残虐」
「福子。あいつ、そんなに強いのか?」
「黒虫の防御が強固でさ」
「それは俺も感じた。発力が弾かれる」
拓郎と福子と和也がアルミケースを手にしたヴィクトルと対峙して対策を練り、ドミニカは日本の工作員を警戒しながらヴィクトルに近寄り、「Are you okay?」と負傷した左眼を気遣う。
ヴィクトルは「No problem」と微笑み、日本の工作員の方へ顎を向けて、日本語を理解するドミニカに質問した。
「What are they talking about?」(あいつら、なにを話している?)
「I'm thinking of a strategy for black clothes」(黒服の攻略を考えているのよ。)
「黒服を打開しないと勝ち目はないぞ」
「殺虫スプレーが欲しいねー」
「とにかく、ユージンの為にもケースを取り戻そう。人数的にはこっちが有利だ」
拓郎が一歩踏み出し、和也も仕方なくその後に続くが、何故か福子は足元を見て「ひえ〜」と喚き、運動靴に黒虫が一匹張り付いているのを指差し、和也が運動靴とヴィクトルの下腹部を見返して、黒服の股間部分に切れ目が生じて白い生地がチラついている事に気付く。
「社会の窓が……開いた」
(昭和の時代、男性のズボンのファスナーが開いていることを『社会の窓』と言った。)
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