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霊波動の応用
ヴィクトルは顔を背けて矢尻の刃先が右眼の角膜を切り裂く寸前に瞼を閉じ、皮膚が切り裂かれて血の滴が飛ぶとすぐに見開き、福子が指先で股間を突くのを覗き込み、膝蹴りを打ち込むが激痛で下半身に力が入らず、よろよろと後退して両手で股間を押さえて悶絶した。
「チャーンス」とガラ空きになったヴィクトルの顔面に福子が回し蹴りを放つが、途中で片足を上げたまま固まり、床を這う黒ムカデの群れからぴょんぴょんと後退した。
アルミケースを床に置いて爆破解除を試みる和也もダイヤルを回す手を止めて、黒ムカデが這い上るアルミケースから離れ、福子の隣で呆然と立ち竦む。
「動くと噛まれるわよ」
拓郎の腕を十字固めに決めたドミニカが福子と和也に忠告し、仰向けの拓郎が首を横に向けて、牙を剥く黒ムカデを見て驚嘆した。
「KGBは虫を操れるのか?主人の危機に出陣するとは健気なアイテムだ」
数分前、拓郎はノーモーションでドミニカの胸の中心に掌底を打ち込み、胸内に衝撃波を与えたが黒服と分厚い胸筋に発力は吸収され、逆にドミニカに右腕をロックされ、両足で挟み込まれて十字固めに移行された。
「5分も必要なかったわね」
「どうかな?」
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