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重要機器の極秘事項
亡霊は死の苦痛と過去の哀しみを映像記憶として魂に残留させ、傷と血のイメージに敏感であり、魂の消滅に強い恐怖感を抱くと云われているが、大和拓郎は無感覚の特異体質の持ち主であり霊体改造の適応力があった。
「拓郎って、ドMなんだよ。多重ゴーストとか、そんなカッコよくないから」
「福子が確実に仕留めていれば、こんな真似をしなくてよかったんだ。少しは感謝しろ」
「ごめん。痛くないの?気持ちわる」
霊波動の熱で腕の傷口は焼き鏝を当てたように血が沸騰して瞬時に固まり、隣りの福子が瘡蓋を指でツンツンして調べている。
「それで5分過ぎたけど?」
「ふん、片腕で戦えるのかしら?」
「そっちは片眼でチンチンもヤバいのに、よくそんなこと言えるね?」
福子が指摘したように、ヴィクトルは左眼を負傷して右眼の瞼にも切り傷があり、股間部分はうっすらと血が滲んで、黒ムカデが進軍した事で生地の損傷も広がっていた。
「黒服の損傷が進めば、霊界ゾーンは通れなくなり、霊体を防備する事も不可能になる筈だ。こっちは時限装置を解除し、ホームに帰らせてもらうよ」
アルミケースを両手で抱き締めた和也が後方に下がり、拓郎と福子を残して逃走する準備を始め、ドミニカは自分以上にヴィクトルの黒服の損傷が激しい事を不安視した。
「No problem. I'll fight」(問題ない。戦うぞ)
「However, aluminum cases cannot be followed」(しかし、アルミケースは追えない)
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