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プロローグ・ウクライナより愛をこめて
ウクライナFCディナモ・キーウに所属するサッカー選手ユージン・レブノフ(25歳)は志願兵となり、東部ドネツク州のバフムトでロシア軍の爆撃を受けて死亡したが、亡霊になって深夜のサッカースタジアムに入場し、無人の観客席からグランドを眺めている時、ACミラン、ウクライナ代表で活躍したレジェンド、アンドリー・シェフチェンコの亡霊に声をかけられた。
「ユージン、君に頼みたい事がある」
子供の頃から憧れていたサッカー選手に遭遇したユージンは声を詰まらせて驚いたが、それ以上に磁力を帯びた衣服から露出した腕や顔の皮膚がひび割れている事に驚愕した。
「……どうしたのです?体がボロボロじゃないですか?」
「クレムリンへ行ってたんだ。もう知っていると思うが、亡霊は血を流した土地に呪縛され、強引に離れると霊魂の磁力を失い、最終的には塵となって永久に消滅する」
「ええ、バフムトから抜け出せない、多くの亡霊を見ました」
ユージンは自分だけがキーウへ飛ぶ事ができて不思議に思ったが、今は多少霊力が強いと自覚し、シェフチェンコも同様の能力を持ち、霊バリアーの衣服を着てロシアへ渡ったと推測できたが、霊体の損傷は著しく『消え去るのではないか?』と不安な表情で見詰める。
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