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離婚後の果てに。
私の結婚生活は一体何だったのだろうか?
私が結婚したのは、25歳の頃だった。相手は同じ会社で働いていた1つ年上の城田健吾。交際期間は2年。明るく面倒見が良く、子供好き。
この人なら明るい家庭が築けると思っていたからプロポーズを受け入れて結婚。
『佐久野一華』の姓から『城田一華』の姓に変わり、2LDK賃貸マンションに新たな新婚生活をスタート。だが、その幸せな期待は長続きはしなかった。
それから4年の月日が過ぎても私達に子供がデキなかったからだ。もちろん排卵日や体温を気を付けたり、不妊治療も受けた。それなのに……どうして?
自分の卵子のせいかと思ったが、検査結果では問題ないと言われた。残りは妊娠デキにくい体質なのか。また夫に問題があるのだろうと……。
産婦人科の医師から一度夫にも診察を受けた方がいいと言われたのだが。
私は、はぁっと帰り道に、背中を小さく丸めてため息を吐いた。
(こんな事……健吾に話せなよ)
夫は本当に子供好きで、2人欲しいと楽しみにしていたぐらいだ。だが、4年過ぎても妊娠の兆しはないから……夫婦生活も今は子供を作るだけの義務みたいになっていた。
排卵日と夫が気が向いた時にする程度で協力的なのか、そうではないのか分からず。
それでも来月はきっと……と期待はしてくれたのにと失望する。
しかし、その願いは違う形となって終わりを告げる。最近帰りが遅くなる夫。
ほのかに甘い香水の匂い。そしてラブホテルのレシート。
コソコソとメッセージを打つ姿。その全部が黒だった。
私も信じたくないと思いながらも、夫が寝静まった夜に、こっそりと夫のスマホのメッセージアプリで探ってみる。不倫をしている証拠写真とメッセージが。
私は怒り任せに夫をベッドから叩き起こして証拠を突きつけた。
最初は言い訳ばかりしていた夫だったが、逃げ切れないと分かると素直に土下座をして謝ってきた。どうしても子供が欲しかったと言いながら。
「どうして子供がほしかったからって浮気をするのよ? 言っている事が矛盾していない?」
「だって一華の体質だと子供がちっともデキないじゃないか。このままだと子供は望めないし、両親だってガッカリされてしまう。だから、せめて子供だけでも他で産めたらって。俺だって必死だったんだ」
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