episode 1

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それは私にとって旅立ちのチャンスでした。 魔女になれるのは18歳以下まで。 17歳の私にはこれが最後のチャンスなのです。 三つの月が正三角形に並ぶことはほとんどないのですから。 私は決心して薬を箒の先の石に半分かけ、半分を飲み込みました。 箒の先の石はやがて赤紫の色を帯び、私を包みます。 暖かい光でした。 「ユシェリは赤っぽい紫なのね」 「赤紫ですね」 一方のパステルはライムグリーンです。 「さてと、箒、乗ってみて」 「え? あの、ここ一応室内ですよ?」 「そうね。でも大丈夫。初心者は跨るけどユシェリのことだし、横乗りで行きましょ」 「横乗りで……」 そうして、私は箒に乗りました。 意外にも安定感があり、落ちるということは自分の意思がない限りないでしょう。 「意外にも……」 私は思わず笑みを浮かべます。 パステルはそうでしょう。というように頷きました。 そこからは練習の日々でした。 そう、箒に乗るのはそう簡単にいかないのです。 安定感はありますが様々な技術が必要となり、全てを覚えるのは大変でした。 そして、私が18歳になった時。 旅立ちの日を迎えました。 「家族には挨拶済み?」 「はい、どちらにしろ家を出ていってもらうつもりだったから大丈夫だと、大声で言われました」 「そう、では行きなさい。地図は丸暗記したわよね?」 「はい、では行ってきます」 そうして、私は初めてラヴェリルの外にでたのです。 この広い海、どこまでもな空。 今まで見てきた景色が全く違って見えます。 何があるかわからない世界が私の目の前に広がったのでした。
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