食○村

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通されたのは、家の地下にある薄暗い場所だった。 娘が手に持った松明で中を照らすと、異様な光景に息を飲んだ。 「まさか、私が食べたのは······」 私は自分が食べた物の正体を察すると、吐き気を覚え、その場に突っ伏した。 檻の中で飼育されていたのは、人間に見えた。 「この村に度々迷い込んでくる獣ですよ。とってもジューシーで耽美な味がするでしょ。一度口にしたら忘れられなくなる。あなたも、もうこの肉が欲しくて欲しくて堪らない筈。」 どうしたことだろう。いつの間にか吐き気は収まり、先程食べた肉の味を思うと、生唾が止まらない。 「私はあなたが気に入ったの。ずっとこの村で私と一緒に暮らしてくれるでしょ。」 娘は私を包み込むように抱き締めた。 もう私は、あの肉無しでは生きられない。この村から出ることは叶わない。そう悟った。 「この村の名前?この村の名前はねぇ。食人村(しょくじんむら)。」
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