妄想にて会いましょう

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幼い頃から妄想することが好きだった。 妄想の世界ではなんだってできる。 瞬間移動でどこへだって行けるし、魔法で動物とも話せる。 空だって飛べる。 他の人から否定されることもない。 妄想の世界は私が私でいられる絶対的な場所。 20歳になった今でも、妄想の世界は私の心の癒し。 妄想のしすぎだろうか。 いつだったからか忘れてしまったが、私が眠っている時に見る夢はすべて妄想の世界のものだった。 そして最近、夢の中の妄想の世界に私以外の人がいる。 ハル君というらしい。 現実世界の住人なのかは知らない。 多分私の妄想でできた架空の人物。 だってこんなにも私の理想の人なんだもの。 「そうだったんだね」と受け入れてくれる声。 「大丈夫だよ」と抱きしめてくれる温かさ。 「それはもっと良い方法があるんじゃないかな」と指摘してくれる優しさ。 こんなに完璧な人なんて、この世にも、妄想の中の世界にもいないんじゃないかとさえ思う。 恋してる。 私は妄想の世界の住人に恋してる。
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