妄想にて会いましょう

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現実での私は平々凡々だ。 名前だって「佐藤 愛」という。 同じクラスに佐藤さんは絶対もう一人いたし、愛という漢字は名前に使われがちだ。 同姓同名だって多くいることだろう。 別にその人たちを否定したいわけじゃない。 ただ私は。 成績が良いわけじゃない。ど真ん中だ。 何か秀でた特技もない。習い事もしていなかった。 スタイルが良いわけでも可愛いわけでもない。中肉中背、彼氏いない歴イコール年齢。 お金持ちでもない。自分の趣味に使うお金をアルバイトで稼ぐくらい。 ここでいう趣味は妄想に関することだ。もちろん。 妄想をするとき、アメリカに行きたい気分だったら洋楽を聞くし、空を飛びたい気分であるのならば某国民的青色猫型ロボットのアニメのオープニングを聞く。 もっと深い妄想をしたいのならば小説を読むのが良い。 小説の中では、異世界転生して溺愛されたり戦場に身をおいたりAIの攻撃から人類滅亡の危機を救ったりするのだ。 小説を買うとなるとお金がいる。 電子版も良いのだが、私は紙の本の方が好きだ。 紙の本となるとさらにお金がいる。 その分を古本屋のバイトで賄っている。 古本屋で本に囲まれるというのはなかなか心地良いもので、お給金はそこまではずむわけじゃないが私にとっては十分だ。
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