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 私こと一之瀬(いちのせ)未那(みな)は、前世、日本の女子大生だった。  私は大学に入学してすぐの頃に亡くなったらしい。  ――らしい、と伝聞調なのは、私自身に「死んだ記憶」がないからだ。おそらく、突発的な事故か何かだと思う。心の準備を何もしていなかったから、多分、死んだ直後は死んでいる自覚もなかったんじゃないかな。  普通だったら四十九日間のうちに道筋を見つけて成仏するものだと思うんだけど、肉体を失って魂だけになった私は、その道が見つからなくて困っていた。  天国への道――だって地獄に落ちるような悪いことを何もしていないし――を探していた時に、ふいに遠くから声が聞こえた。 『たすけて』  小さくてか細い、女の子の声。  「どうしたの?」と意識が向いた時には、もう凄い吸引力で引き寄せられていて、気が付いたら、私の魂はその女の子の身体の中に入っていた。  いわゆる「とり憑いた」状態になってしまっていたのだ。
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