二、剣を求めて

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 とっさに身構えた少年の前に、青年はいた。  傷ついた革鎧になめし皮のマント。ベルトに差した古びた剣の他は、これといった装備もない。よく見られる冒険者や旅人のような風貌だったが、ただひとつ、首にぐるりとはめられた金色の輪が目を引いた。ネックレスのような装飾品ではない、まさに首輪といった感じの無骨な輪っかを、青年は身に着けていた。  そんな青年は何をするでもなくただ立っているだけで、敵意も悪意もなかったが、 「な、なんだよアンタは」  少年は警戒感をあらわにして問い質した。  その問いに、青年は頭をがりがりと掻きながら答える。  「あのなぁ、最初に質問したのは俺なんだから答えてから質問しろよ」  道理といえば道理の青年の答えに、少年は反発する。 「こ、この洞窟に用があってきたんだ! ほら、答えたぞ。今度はアンタが答えろよ」  すると青年は、ふーんと興味なさげな返事をして、答えた。 「俺はニオ。ここに住んでる」 「ここに?」 「そこ」  青年――ニオが傍らを指差す。  指差す先を少年がたどると、洞窟に入ってすぐのところに横穴があるのを見つけた。そこに青年の物らしき様々な道具が雑多に置かれている。壁には藁でできた蓑が、床にはあちこち破れた(むしろ)が、真ん中で燃えているたき火には蓋をされた鉄鍋があった。理由はわからないが、ニオはここで暮らしているようだ。  だとすれば、この洞窟についても知っているかもしれない。 「なあ、アンタ」 「ニオだっつったろ」 「ニ、ニオ」 「なんだよ」 「この洞窟のこと知ってるか?」 「もうちょっと具体的に聞けよ。知ってることもあるし知らないこともあるんだから」  確かにそうだと思った少年は、改めてニオに問う。そもそも知りたいことはひとつしかない。 「この洞窟のどこかに神殺しの剣があるって本当か?」
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