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「七瀬さん?どうしてここに?」
夜の堤防道で私は目の前にいる七瀬さんに問いかけた。
七瀬さんは息を切らしている。
どうやら、ここまで走ってきたみたいだ。
そして、七瀬さんは息を整えてから、ゆっくりと喋り出す。
「…美揺に電話したら、さっき九十九さんが帰ったって聞いて…もしかしたら追いつけるかな?って思って走ってきた…」
七瀬さんが若干しんどそうに話す。
よく見ると額に汗が流れている。
「えっ、わざわざ来てくれたんですか?一人も大丈夫ですよ…」
きっと夜道を歩いて帰る私を心配して来てくれたのだろう。
「…ごめん。もしかして迷惑だった?」
七瀬さんの言葉にすぐに首をぶんぶんと横に振った。
「いえ、迷惑なんてことはないです!ただ、申し訳ないなって思って…」
「…良かった。大丈夫、俺が来たくて来ただけだから、九十九さんは気にしなくていいよ。さあ、行こうか?アパートまで送っていくよ」
と七瀬さんが私の横に並んだ。
私は頷き、再び帰路へ歩を進める。
すぐに七瀬さんから話を振ってくれたので、私は仕事場であった今日の出来事を話した。
少し話すか迷ったけれど、美揺だけ話して七瀬さんに話さないのはちょっと冷たいかなと思ったのだ。
それに私はなんだか七瀬さんにも聞いて欲しかったのかもしれない。
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