ある日の深夜2時

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「だから、一ヶ月に2回くらいは音を出してみたり、物を落としてみたりしたのよ」 「へぇ」と今度は『はやぶさ』が言った。 『ロング』は思い出したように、ふっと笑った。 「…すごく怖がってもいたけど、みんなの反応が良くて、配信後アイツ喜んでてさ。なんか、可愛く思えてきちゃったわけ」 「…なんか、いいですね。誰かと一緒にいるって」 『メガネ』がしみじみと言った。 「まぁ、アイツくらいじゃない? 幽霊と住んで喜んでるのは」 「ねぇ…」 それまで黙って聞いていた『善治郎』が話しかけてきた。一同が彼に注目する。 「なんで、みんなは死んだの…?」 言われて、それぞれがお互いの顔を見た。 出会った頃に、自己紹介がてら軽く話したことはあったかもしれないが、それもぼんやり覚えているかどうか、という感じではあった。 古株の『はやぶさ』が先に答えた。 「僕はね、交通事故だった。即死だった…。やりたい事もたくさんあったし、追いかけたい夢もあった。…恨みとかは別になかったけど、この世にいっぱい未練はあったからね。行く末を見届けたい、なんて思ってたら…この中途半端な世界に取り残されてしまったって感じかな」 ははっと笑って『はやぶさ』は「お次どうぞ」と隣りの『ロング』に振った。 『ロング』はとても言いにくそうに、目をパチパチさせて話し始めた。 「ちょっと…子どもの前では、言いにくい話なんだけど…」
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