ある日の深夜2時

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「おう、ばーさんがいるよ。今は老人ホームかな? 娘がね、看ててくれてる」 「奥様が心配で、今ここに? 天国からでも見守れたんじゃ…」 『ロング』が聞くと、頭をかいて『住職』は答えた。 「ばーさん、認知症になってたからよ。もし、ばーさんが死んだ時、俺を探して彷徨っちまったら嫌だなと思って。とりあえずこの世に残ったんだよ。…天国逝って、ばーさんを迎えに来れなくても嫌だしよう。ここに留まれば、すぐ会えるかなと思ってるわけだ」 カカッとまた笑顔でみんなを見る。 「すぐにこっちに来るかと思ったら、ばーさん長生きでなぁ、俺はお陰で10年もここにいるわけだ!」 明るく笑う『住職』にみんなも笑顔になる。 「じゃあ、真っ先に会いに行ってあげないとですね」 『はやぶさ』が言うと、照れたように『住職』は笑った。 次は『メガネ』の番だ。 みんなと目が合うと、つい癖でメガネを上げてしまう。 「ええっと、僕は…過労死でした。上司からも圧をかけられる毎日で、サービス残業が続いて…。机の上にはコーヒーやエナドリの空き缶が一度に何本も溜まっていく…そんな日々でした」
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