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思わず身構えながら奥の部屋に視線を遣ると、腕いっぱいに何かの布を抱えた金髪の人が此方に走ってきている姿が見えた。
「こ、これ!」
そして、俺の前でドサッと布の束を置く。
「……?」
俺が首を傾げていると、視線を泳がせている金髪の人がそっと布を指差した。
ズボン……?
「ほら、君、下穿いてないでしょ……?それ穿いていい、から。」
そう言われ、金髪の人と一緒に視線は俺の下半身へ。
「え、あ……!?」
昨日盛った名残か、赤い痕の残る腿が無遠慮に晒されていて、みるみる内に自分の顔が熱くなっていくのが分かった。
……そうだ、亜貴のパーカーだけ着ている状態で致したんだった。
彼パーカーとやらに興奮した亜貴に昨日は散々抱かれて、それでーー。
「…………パンツは、穿いてる?」
気まずそうな様子で、まるで内緒話をする様な声量で尋ねられる。
俺は片手を大きめなパーカーの中に軽く忍ばせて確認した。
そこには布の感触。
ーー金髪の人の顔を見つめて、静かに頷く。
何これ、恥ずかし過ぎんだろ。さっき死んどけば良かった。
「よ、ヨカッタ!流石に男用パンツ貸す訳にはいかないし!」
ぎこちない様子で金髪の人がうんうんと頷き返してくる。
……あ、これ。
「あの……」
「あ、ごめ、自己紹介しなきゃね、自己紹介!」
ズボンを穿きながら俺が相手の〝間違い〟を指摘しようとすると、気まずさからか金髪の人が声を被せてきた。
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