pancake.

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pancake.

 ーー……お腹空いた。  頭がぼーっとする。今何時だっけ。さっきまで何してたんだっけ。此処、どこ。 「ん……」  身体を起こすと、具合が悪い時特有のあのクラクラ感が俺を襲う。  めちゃくちゃかったるい。  頭を押さえながら辺りを見渡せば、此処がどこだかはすぐに分かった。  恋人の家だ。恋人の家の寝室。  ……にしても荒れてる。  俺が居るのはベッドの上だけど、シーツがビリビリに破けているし、枕の羽も出て、〝え、何のプレイしたっけ?〟という思考が頭痛を訴える頭をよぎった。  くん、と鼻が機能し始めると、独特な匂いも感じる。  生臭い……?  自分の格好を見下ろせば、〝致した後〟というのははっきり分かる様な格好であった為、恋人が出した其れの匂いかとも思ったが、何だか鉄臭い様な気もする。 「ウ゛……、ウ゛ォ…………」  何が何だか分からないまま呆然としていれば、低い唸り声の様な声がキッチンの方から聞こえた。 「亜貴(あき)ー?」  試しに恋人の名前を呼んでみる。  ……が、反応はない。  ただ、寝室の外からは低い唸り声とペタペタという足音が聞こえる。  何かが居るのは間違いない。  一年前から流行り始めた、人をゾンビの様にしてしまう感染病の名前が頭をよぎった。  〝冥病(めいびょう)〟。  俺達東京都民から、平凡な日常を奪ったその病の名だ。  突如として驚異的な感染力で広がり始めたその病気に罹った人間は、簡単に言うとゾンビになる。  あっという間に脳が病気に侵されて、自らの食欲を満たす為に肉を貪る事しか考えられなくなってしまうのだ。それが何の肉であれ、感染者達は喰らう。鶏でも、豚でも、牛でも……人間でも。
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