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ある日ふと思い出した。
中学生のとき、親友だと思っていた子からいじめじみたことをされたことを。
就職を控えた大学生のわたしにとっては、あの年頃の子はそういうもんだよなぁ、と振り返り翌朝にはすっかりと忘れていた。
結婚し子どもができ、円満な家庭を築いた。
ある日、娘が泣きながら帰って来たので何があったのか聞くと、クラスのある男の子がちょっかいを出してくるのだという。
わたしは、そういうお年頃なのよ、と微笑ましく説いた。
娘は次の日から、勉強をするためと言って部屋に籠ることが多くなった。
少し前に夫と中学校受験の話をしたのを聞かれたのかしら。
娘が大学の入学が決まった頃、お義母さんが認知症になった。
高齢だから仕方ないが、介護をしているとストレスが溜まるものだ。
娘に、お義母さんから何度もお昼はまだか聞かれる、とつい愚痴ってしまった。
すると、少し口角を上げながら娘は言った。
そういうお年頃なのよ。
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