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「あらあら、2人ともありがとう」
「いいえ」
私と彼はハモってしまう。彼はサラサラした黒髪が揺れ動き、高い鼻が特徴的なハンサムな顔をしている。学生服を着ている彼もきっと、学生だろう。彼とふと視線が重なると、彼は私に微笑む。その瞬間時が止まったように感じた。
――どこかで会ったことがあるような気がする?
不思議な感覚を感じながら私達はおばあちゃんの家まで荷物を運んだ。
何かを感じたのは彼も同じだったようで……帰り道で先に声をかけたのは彼だった。
「僕は高坂 咲也です。どこかで話しませんか?」
「良いですよ。私は神谷 真実です」
「この近くにカフェがあるのでそこに行きますか?」
「良いですね!」
いつもの私なら、初対面の男性と2人でカフェなんて行かない。間違いない。でも、行こうとしたのは不思議な感覚があったから。
まるで魔法にでもかかったみたいに、気づくと返事をしていた。
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