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特徴的な翠色の両眼に、小さな顔を輪郭づくる長い黒髪、遠目からでもひときわめだつ輝くような真っ白い素肌。かわいらしい黄色いチョゴリと真紅のチマ──と特別仕様の衣装を身にまとわせてはいるものの、あれはオフィーリアにまちがいない。
「失礼、こういう者ですが」
うれしくてつい後先あまり考えず、韓国語で話しかけていた。
「金城……氏ですか」
オフィーリアをいっしょに連れていた、グループ数人のなかの学生らしき女性のひとりが、名刺を差しだされたままに受けとりつつも、けげんそうにつぶやいた。
「ああ、そうですね。ここではクムソンと申します。フリーのジャーナリストでして」
オフィーリアの笑顔につられ、口もとを緩めたまま金城は自己紹介する。
「民主主義のために立ちあがり戦っていると聞いて、ただちに取材に、というより正直なところ本音は、応援に飛んできました」
まだあやしんでいるようすの学生たちに、
「で、その、偶然、彼女を見かけて。オフィーリアでしょ」
オフィーリアを指さしたとたん、
「あっ! ジョージ!」
再度さっと名刺に目をとおすと、女学生が跳びあがらんばかりに歓声をあげた。
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