文章術解説

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【1】書き出しどうする問題  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 書き出しは読み手をおもてなしする玄関だと考えています。扉を開けたらすぐ落とし穴、くらいに、物語に突き落とす仕掛けを!……と、どの作品でも頑張っています(効果のほどはどうであれ)。 ↓「火竜姫 - Invisible Moon -」書き出し(画像)d6f22346-e0a5-40c4-ba7b-33c1ca467ae6↑画像ここまで 当初は短編だったこともあり、物語の導入として ・物語の世界観 ・これから何の話をするのか をかなりコンパクトにまとめる必要がありました。 時系列通りに書くと、半島統一戦争があって〜のくだりから、辺境へ赴く旅に出て、襲われて……なのですが、エンタメとしてはやはり「すでにコトは起こっている」がいい。 ここでは騎士(クロード)と火竜姫レアの話をするので、ぐっと二人にフォーカスが当たるように、逃げているシーンにしました。 > 呼吸と鼓動が〜 これは、もう夜で、見通しが悪い様子を表しています。逃げている二人の息遣いと、段々と人物に寄っていくカメラワークを感じてほしいところです。 ロケーション=夜はブレずに伝えたいところなので、その後に「いつのまにか陽は落ちて〜」で"押さえ"。 > 形ばかりの隊列は〜 ここから具体的な状況説明に入ります。冒頭で「何が起こってる?」「どうしてこんな状況に?」と思わせてあるので、すんなり読み進めてもらえる(はず)。 語り口も説明的にならないように、登場人物の目線で臨場感を出します。 同時に疲弊の程度が伝わるような描写を混ぜています。 ……という感じで、 ・火竜姫の話である ・隊列があったが今は騎士と二人 ・大変だったけどなんとか逃げ切った ・乱れていた息や脈は落ち着きつつある ・二人ともヘトヘト …あたりの情報が、絵と共に伝わっていたら嬉しいです。 逃げている人の描写って、それが誰でも応援したくならないですか? 疲れ切っていて。しかも騎士のほうはケガしてるみたいだし。 この後どうなるんだろう?(助かるのか?) …って思ってもらえてたら大成功です。 もちろん、これが最適!ベスト!かどうかはわかりません。 今まさに戦っている最中から書いても、書き出しとしてのインパクトや「掴み」としてはアリかなと思います。 が、この後で騎士が事切れるところにヤマを持ってきたいので、あまりインパクトが強すぎるとバランスが悪い(短編だったから特に)。 そこで全体的には静かなトーンで統一できるよう、逃げ切った後からを切り出しました。 次のページへ: ⇒【2】誰得の小技集
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