文章術解説

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【2】誰得の小ワザ集  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ① 視点をバードビューに切り替える ===  波打つ川面は少女の顔を映さない。震える両手で水をすくい、顔を洗う。流れ落ちる雫はかすかに甘い香りがする。  折からの風に、森から鳥が飛び立つ。対岸には、黒く焼けた森がどこまでも続いていた。 (序章より) === そこまで登場人物の目線・地面に足つけた高さで進んでいた話を、バーン!と引きの画に変えたい。 →鳥を飛ばして視点を鳥に移す→鳥視点での描写が自然に ② ウゴの性質 === イヴェットはその肩にそっと手を置いて、地面に刺さった矢を引き抜いている青年に声をかける。 (第5章より)  サリーナが腰を浮かし、パンが床に転がり落ちた。それをウゴが拾い上げる。(中略) 「早く食えよ」  ウゴは拾ったパンを咥えて布袋を漁った。 (第6章より) === なくても話は進められますが、矢を回収したり落ちたパン(サリーナの分だったやつ…)を食べちゃったり、貧乏性…いや倹約家なところを描いています。 ハードな半生、切り詰めた生活を送ってきた元王子なのでした。 ③ クロードは水が好き? ===  この状況下で、わざわざ人払いまでしてクロードと茶を囲むのは、思惑あってのことだろう。何を言い渡すつもりなのか。クロードの手元では、水のグラスばかりが空になる。 (第4章より) === 王太子ディディエに詰め寄られ、水をがぶ飲みするクロード。 緊張すると喉が渇くのは交感神経が優位になり云々…ということで、クロードのストレスを飲む水で表現していました。 この頃はまだ、いいとこの坊ちゃんから抜けられていない。そんな様子も感じていただきたいシーンです。 ④ 花びらがシームレスにつなぐ === 「マルリル」  クロードはそっと彼女に指を伸ばした。髪についた花びらを摘んで風の中に送り出す。 「生きろよ」 (中略)  風がページをめくるのを、プルデンスはぼんやりと眺めていた。ぱらぱらと巻き戻った見開きに、花びらが一枚、舞い降りる。 「早いものだ。もう、季節が移る」 (第6章より) === モニックの丘でのレアとクロードの再会から一転、セルジャンのプルデンス邸へ。 場面の切り替えと共にクロード離反・プルデンス捕縛へと物語の風向きが大きく変わるシーンを、花びらでつなぎました。 いかがでしょうか? 次は今後の見通しや続編の先出しなどを考えておりますー。 本編まだの方はぜひこちらから! https://estar.jp/novels/25712720
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