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アイテムで楽しむ「火竜姫」
「火竜姫」では、アイテムをうまく利かせる試みをしています。
長編化しようと思った時、一番意識したのが読者が最後まで読む必然性を出す、というところで、ストーリー展開はもちろんですが、1話1話をシームレスにつなげるような、細かい仕掛けができるといいなぁ…などと考えてみた次第です。
以下にいくつか例を挙げますので、またお時間のある時にでも本編を読み返してみてください!
↓画像はnoteでも公開していますが、その下にもエブリスタのみの解説入れておりますー!
画像はcanvaでほどよいイメージが見つかったものだけ作りました(世知辛い事情)。といって、ほかのもそこまで私のイメージにハマっているわけではないのですが……。
アイテム(物理)ではないですが、「名前」もそうかな。
レアがマルリルに、イヴェットがレアに。
シーファがもしかして第三の火竜姫になっちゃうの?……ときて後半、ダークホース(ウゴ)が本当の名前を明らかにする、という構成を取っています。
レアの場合は新しい名前での新しい自己を、イヴェットの場合は失った自己を取り戻す物語。
ウゴはまた少し違って、ウゴでありながらずっとベルカントでもあり続けた。
作品のテーマに「アイデンティティを勝ち取る」みたいなものがありまして。
Invisible Moonではマルリルはすでに新しい自己を確立した感じで登場するのですが、それがまた過渡期のイヴェットとの対比になるのではないかなと思っています。
(マルリルが自己を勝ち取っていく様子は第二部で予定しています)
また、
「火」や「月」はタイトルにも入るくらいなので、記号的ではなく「見る角度で変わる」ような含みのある使い方をしています。
──
いつのまにかくべた枝は燃え尽きて、残った火種が静かに赤く光っている。暗闇の中で静かに灯るそれは敗者が隠し持つ復讐心のようだった。(序章より)
──
「この祭、私も好きだった」
マルリルは微笑みで遮って、その瞳には炎を映す。「邪魔はしたくない」(第3章より)
──
──
お腹の子供に流れる血は特別ではない。(中略)愛する人の失望が今から恐ろしい。せめて〝私〟として火竜姫を名乗れていたら。(中略)
去り際に雲の切れ間から顔を出した月は、昨日より少し膨らんでいた。(第3章より)
──
寝台からは体を起こしただけで青く照らされたウゴの姿が見えた。両膝をつき、額の前で指を組んでいる。真ん丸い月に窓格子が架かっていた。(第3章より)
──
なんとなくにでも、ニュアンスを感じていただけていたら嬉しいです。他にも探してみてください!
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