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未来の世界にようこそ!
20××年。
世界には人と変わらぬ思考、感情を再現できるAIと人の姿や動きを完全に模したボディを持つ、人類の新たなるパートナー、デミヒューマンと呼ばれるモノたちが誕生していた。
それは急速な人口減少に悩むこの国において不足した労働力を補うのに打って付けな存在であった。
工場、レストラン、コンビニ……
日常の様々な場所で活動するデミヒューマンたちの姿は今やごく普通の光景になっていた。
だから、昼休み、会社の食堂で。
「デミヒューマンだけで運営するペンション?」
という話を友人から聞いても、斉藤あかねはさして驚きもしなかった。
「うん、山の中にある静かなペンションでね。あかね最近疲れ気味みたいだし、行ってみたらどうかなって思って」
たしかに、ここのところ有給をとった先輩や釣りに行くとかで早退した上司のカバーに追われ、オーバーワーク気味であった自覚はある。
だが。
「いやー、大丈夫、ダイジョウブ。別にそんなに疲れてナいし、まダまダ働ケルヨォ」
そう答えながら虚な瞳でケラケラ笑うあかねを見て友人は。
「いや、怖い、怖い。今のあんた絶対ヤバいから!」
顔を引き攣らせ友人が言った。
「えー、そうカナー」
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