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窓の外を眺めると山々に囲まれた長閑な風景が流れていく。まるでおとぎの国に迷い込んだような気分になりながら、あかねが飽ことなくその景色を眺めていると。
「着きました」
白猫の声がして、気がつけば目的の場所に着いていた。あかねは車を降り見上げると。
「わぁ、素敵」
そこには白を基調とした洋館風のペンションが鎮座していた。
「そう言っていただけて幸いです」言いながら白猫は車から荷物を下ろし。「では、ご案内いたします。どうぞ、こちらに」
あかねをエスコートしながら扉を開けると、まるで映画に出てくるお城に敷かれているような赤い絨毯があかねを出迎えてくれた。
「嘘、すごい、すごい!」
その豪華さにあかねは我を忘れ、その場で童女のようにぴょんぴょん飛び跳ねる。
「2階に斉藤様のお部屋をご用意しておりますので、まずはゆっくり移動のお疲れを癒してください」
「うん」
ルームキーを受け取ったあかねは白猫に案内され二階へとあがる。部屋に荷物を運びこんだところで白猫が。
「よろしければ昼食のご用意を致しますが、如何なされます?」
と、尋ねてきた。あかねがちらっと部屋の壁掛け時計を見やれば時刻は午前11時30分をいくらか過ぎたほどになっていた。
計算すると朝食を摂ってから5時間以上経過していて、胃の中が空に近くなってきているのをあかねは感じた。
しかし。
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