0人が本棚に入れています
本棚に追加
「それはよろしいですね」言ってから白猫は少し考えるような素ぶりを見せてから。「もし、お邪魔でなければぼくがこの辺りのご案内をしましょうか?」
と、聞いてきた。
「えっ!?いいの?」
「ええ、夕飯の準備まで2時間ほど手も空いてますし。如何でしょう?」
就職してから三年、すっかり運動不足気味になってしまったあかねである。2時間も歩く気は最初から、ない。せいぜい30分か一時間程度歩くつもりだった。
「ありがとう。なら、お言葉に甘えるね」
こうして2人は散歩にでることになった。
部屋に戻りコートを羽織ってみると。
(いやー、言うてまだ10月だし、さすがに変かなぁ?)
など、あかねは心配したが外へ出てみれば風は想像 以上に冷たく、コートを着てちょうどよい気候であった。
「では、参りましょうか」
そう言ってあかねより先に準備を済ませ玄関前で待っていた白猫が歩き出す。見れば白猫は黒のコートを羽織っていた。まるで処女雪のように輝く銀髪を持った白猫に黒いコートは良く似合っているとあかねは思った。
「ねぇ、どこへ連れて行ってくれるの?」
「あまり期待されると心苦しいのですが、ぼくが普段から歩いてる散歩コースです」
「えっ、あなた散歩なんてするの?」
最初のコメントを投稿しよう!