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打ち合わせに参加するのは、プロジェクトメンバーである技術部長と主任の二人で、未桜はお茶を出す雑用係だ。
二時間近くに及んだ打ち合わせの間、一度、追加の資料を持ってくるよう言いつけられて顔を出すと、三人は技術の話で盛り上がっていた。
未桜にはわからない難しい話を楽しそうにしていて、傍から見ると、ザ・理系男子の集まり。辰巳教授はさしずめ、その中でも最強の理系男子、といったところか。うちの主任の質問に対して、淀みなく答えを返していた。
打ち合わせの後は、「懇親会」ということで、飲みに行く流れになった。
「卯月も出られるよな」
畑野部長が有無を言わせない口調で、未桜に確認する。
「は、はい」
未桜は断れずにうなずく。
「よし、男ばかりじゃ、華がないからな。頼むで」
未桜は急いで、いつもお客さんが来た時に行くお店に電話して、席が空いていることを確認し、辰巳先生と、部長・主任と一緒に外へ出た。
うちの会社は大阪市内の、古くからある繁華街の近くにあるので、夜になると、仕事終わりに飲みに来た人が行きかっていた。
真冬の大阪は、雪はめったに降らないけれど、冷たく乾いた風が吹いている。
向かったお店は、焼鳥がウリの居酒屋だった。
半個室の席に案内されると、男性陣はビール、未桜はウーロン茶を頼み、さらに未桜はメニューを見て適当な料理を見繕った。
飲み物が運ばれてくると、四人はグラスを軽く打ち合わせて乾杯し、和やかな雰囲気で雑談しつつ、料理をつまんだ。
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