第13話_見守る眼差し

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啓介(ケイスケ)の相槌に、たれ目の目尻を一層下げて微笑む葉月(ハヅキ)を見、(リョウ)もつられて笑う。 そして葉月の言葉の言葉を受けて、入学式当日の蒼矢(ソウヤ)を思い出していた。 …入学式に親が出席しないなんて、なんか悲しいなぁと思ったけど…、こういう年上の人やエイト先輩や、あの幼馴染の彼が身近に居てくれてるなら、髙城(タカシロ)は俺が想像するほどの寂しい思いはしてないのかもしれないな… 啓介が着衣を整えたところで、蒼矢が部屋へ戻ってくる。 テーピングが施された右腕を動かし、啓介は葉月へ驚きの表情と共に頬を上気させた。 「…すごいっす、さっきまで右肩すげぇ重かったのに…! ありがとうございます!」 「お役に立てて良かったよ。明日病院行くまでは、なるべく安静にね」 「はい、お世話になりました!」 「おにぎりご馳走様でした」 帰宅する3人を、葉月は玄関先まで見送る。 そして会釈する去り際、後ろから微笑んだ。 「…大学で良い友達に巡り合えたみたいだね、蒼矢」 「!」 声を掛けられた蒼矢は、目を見張りながら振り返る。 「入学までひとりで手続き大変だったみたいだから、少し心配してたんだよ。でも、元気に通ってるようで安心した。…仲良くね」 「…はい」 そう優しく声掛けされ、つられて振り向いたふたりの友人からの視線も浴び、蒼矢は気恥ずかしそうに頷いた。 踵を返して薄闇に消えていく彼らを、葉月は見えなくなるまで見守った。
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