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第14話_新たな相関図
I駅に着き、諒と啓介は地下道の方から帰宅する蒼矢と駅入り口前で分かれた。
改札を通ったふたりは、分かれる駅まで元来た道程を戻る。
「良かったな、手当てしてもらえて」
「うん。川崎もありがとな、付き合ってくれて」
「いや、俺は興味本位でついてきただけだから。野次馬心と君への心配半々くらいかな」
諒の返しに少し噴き出すと、次いで啓介は長く息を吐き出した。
「…しかしまぁ、髙城の知り合いはなんだかキャラが立ってる人ばかりだな」
「ああ…確かに、一度会ったら記憶に残る容姿だよね。みんな雰囲気が華やかで」
「髙城の友人として、自信が無くなりそうだわ…、あ、エイト先輩に言わせればまだ"候補"だったんだ…」
「沖本は十分キャラ立ちしてるから大丈夫だよ。髙城から突っ込まれたり制止されたりするくらいだし」
「それってただのトラブルメーカーってことじゃねぇか…!?」
そう声を荒げた沖本だったが、すぐに神妙な顔つきに変わる。
「…いや、なんかさ。エイト先輩が言ってたことが少し理解出来たような気がするんだわ」
「? どういうこと?」
「先輩、自分の気遣いが髙城に伝わらなくてもいいって言ってたじゃん? 俺…今回のトラブルが起きてから、色々被害被っても髙城が文句も愚痴も何も言わねぇから、"俺があいつを守ってやんなきゃ"って息巻いてたんだ。けど結局、あいつ自分でサークルの奴らを撃退しちまうし、逆に俺まで助けられた格好になっちまったし…守らなきゃならない奴だって思ったのは、盛大な勘違いだったかなって」
「…まぁ、確かに心配要らなかったってことにはなったね」
「つまりさ、髙城自身は我慢出来るし自衛手段も持ってるから、助けてもらわなくても大丈夫っていうスタンスだと思うんだけど、やっぱりトラブルには巻き込まれやすいって話だから、丸ごと放っといちゃってもそれはそれで危ないと思うわけよ」
「!」
「干渉し過ぎても多分拒否されちまうし、かといって放置してたらひとりでどんどん溜め込んでいっちまうんじゃないかなと。エイト先輩はそんな塩梅を理解して付き合ってるんじゃねぇかな」
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