第15話_事の顛末

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まるで昼ドラにでも出てきそうな印象深い土下座に、ざわついていた理学部生たちは目を剥き、一様に言葉を失う。 「…!?」 「さっき、事態を粗方把握しました。サークル代表として、深くお詫びを――」 「あ、あのっ、ここではちょっと…みんな見てますし、移動しませんか?」 額を床に擦り付けんばかりの(ミサキ)の仕草に、周囲の目が気になった蒼矢(ソウヤ)が慌て、彼女を立たせようとする。 が、顔をあげた岬は後方に控える理学部生たちを見回し、彼らの視線や表情を受け止めて一度唾を飲み込んでから、再び伏せた。 「…いえ、きっとあなたのお友達にも説明が必要だと思うわ。ここで話させて頂戴」 ひとまず岬を椅子に座らせ、その場に居た理学部生一同で事の次第を聞く。 「まず、この間の記事の話からさせて貰うわね。まず、記事の取材内容以外の部分…タイトルや簡易プロフィールの部分と、…写真ね。これは私が別の人(・・・)に頼んだものなの。…というより、記事自体の名義を彼にするって話になっていたのよ。取材は私が担当したんだけどね」 「"別の人()"っていうのは、昨日の?」 「そう、佐伯(サエキ)さん」 「…ちょっと気になってたんですが、何で"敬称"付けて呼んでるんですか? 院生の方とかですか?」 (リョウ)が尋ねると、岬は首を横に振る。 「彼も4年生なんだけど、去年留年してるの。元々サークルの先輩だったんだけど、同窓生になってしまったって感じね。彼の留年が決まる前に私へのサークル代表後継が決まったから、元・上級生だけど私がそのまま代表を務めることになったの」 ふんふんと興味深げに頷く初々しい1年生たちを前に、岬は深く息を漏らした。 「うちで発行してる新聞が購読者を減らしてるって話は、多分もうどこからか入ってると思うんだけど…今回の企画…髙城(タカシロ)君の取材記事は、サークルの再起を賭けたものでもあったの。私も是が非でもものにしたいって思いがあったわ。でも、佐伯さんは企画を立ち上げた時に『名義を自分にして欲しい』って相談してきたのよ」 「…"実績作り"ってことですか?」 「流石、理学部の子たちは飲み込みが早いわね。…佐伯さんはマスコミ就職志望だったんだけど、去年までの掲載実績が足りなくて、結局希望業種からは内定が貰えなかったみたいなの。で、別業種からは内定貰えたんだけど、結局流れてしまった」 岬の話を聞き、諒は佐伯の(なり)や空気感を思い出す。 …まぁ、華やかではあったけど…あまり真面目にサークル活動に取り組んでそうな感じはしなかったよな。 …掲載実績も"足りない"というより、ほとんど無かったんじゃないのかな…留年して焦って、髙城の企画に飛びついたってところかな?
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