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普段はひと一倍合いの手や相槌を入れて聞くタイプなものの、怖いくらい押し黙ったまま聞いていた啓介が、静かに口を開く。
「落とし前はつけてくれるんすか?」
「沖本、それは…」
「良くねぇだろ。髙城だけじゃねぇ、学部1年全体で迷惑被ったんだぞ? それなりの姿勢は示して欲しいじゃねぇか」
…それでも、自分が怪我したことは言わないんだよな、こいつは…
そう内で啓介の漢気を評価しつつ、諒は目線で岬の言及を促す。
岬は深く頷きながらも、眉を寄せた。
「ええ。こちらとしても、少しでも佐伯さん自身にも非を認めて欲しかったから…代表の立場から、彼に彼名義で謝罪記事を掲載するよう働きかけたの。…でも、『じゃあサークル辞める』って断られてしまって」
「! 退会しちゃったんですか!?」
目を剥く理学部生たちを前に、岬は沈痛な面持ちを晒す。
「退会した以上、こちらに謝罪記事掲載を強いる権限は無いし、彼も責任放棄したって形になる。…せめて直接会って謝罪して欲しいってだけは伝えたんだけど…期待出来ないかもしれないわ」
「…そうですか…」
「でも、サークルとしての姿勢は正していくつもりよ。個人情報を上げてしまったことについての謝罪記事は、私の名前で近日中に臨時発行します。前回発行分は、既に全て回収済みだし、WEB記事も下げておきました」
「…」
「話し合いの場を設けてサークルをもう一度ひとつにまとめて、発行に至るまでのチェック体制も見直して、再発防止にも努めます。…ごめんなさい、組織としてはこれくらいしか出来ないわ」
力を込めて言うものの最後は尻すぼまり気味になり、岬は最後に個人的な思いを口にした。
「…広がってしまった分は取り返しがつかない。謝罪して済む問題じゃないことは十分解ってるつもりです。今後も不都合が起きるようなら、私は代表としての立場でも、個人的にでも、いつでも全面的に協力させて貰います」
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