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02.なんとなくそこにいる
俺はヒロ。
今日は華道部の合宿があって泊りだというので、、学校までユイコを送り届けてきたのだ。
さっきこの道を通った時、ユイコは「ヒッ!」と悲鳴を上げ、甲斐甲斐しくも俺の腕にしがみついてきた。まったく、大きくなったと思っても、まだまだ俺の可愛い妹ちゃんは子供だったようだ。
試しにその『いる』と言われたベンチを見てみるが……なんにもいやしないじゃないか。でもユイコには見えるようで、少女がずっと見ているのだとか。ユイコが霊感が強いのか、俺が霊感ナッシングなのかはわからんけどね。
でもまあここの少女Aの噂については俺も知っている。なんでも出会ったら死ぬ?座ったら死ぬ?そんなどこのホラー映画だよ。
俺は一人帰り道を急いでいた。
そしてあのベンチのところまできて足を止める。
うーん……何も見えない……
試しにそのベンチに近づいて、座って……見るのは止めようかな?なんか見えないけど何かいる……はず。
「やっぱりここに何かいるかもな……」
俺はそのベンチを何度も凝視して、なんとなくそこに何かの存在を感じた俺は、座ることをあきらめて足早に公園を抜けていった。
背後に何かを感じながら……
◆◇◆◇◆
な~に?あれ。
さっきはあの子が一緒でこっちに反応してくれたから、私も嬉しくてガン見しちゃったけど……
どう考えてもあの男の方は才能ないわね。私の存在を欠片ほども感じれてないんだから……
あの子の彼しか何か知らないけど、別れた方がいいわきっと。
さっきなんて私の前のベンチに座ろうとして……ビビッてやめちゃってたもんね。
「やっぱりここに何かいるかもな……」
って呟いてたけど……そっちじゃないから!私はこっち!あんた何もいないベンチをガン見して、それはもう……
久しぶりに笑った私は上機嫌で次のターゲットが来るのを待ち続けていた。
見えない人でもこんなに楽しいイベントもあるのね。
私は新たな可能性を感じながら、また退屈な日々を見続ける。
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