2.のっぺらぼうの探し物

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「俺、人間になりたくてこっちの世界に来たんだよね」  面無くんがぽつりと言った。 「でも、なれないってのはわかってるから。せめて人間の世界で、人間として生活したかったんだ」 「面無くん……」  面無くんはさみしげに笑う。 「ゆかりちゃんも探すの手伝ってくれてありがとう」 「わ、私は何もしてないよ! ただ着いて歩いてただけで……」 「いやいや。新しい友達が増えて俺嬉しいんだ。良かったらこれからも仲良くしてよ」  そう言って、面無くんは手を差し出してきた。その手を握ろうとすると、バッと引き裂くように別の手が割り込んでくる。……紫月くんだ。その顔は相変わらず不機嫌そう。 「オイ面無。あんまり調子に乗るなよ」 「うわー、男の嫉妬は醜いよ周くん」  面無くんが手を下ろすと、紫月くんはチッと舌打ちを鳴らした。私も行き場のなくなった手をそっと元に戻す。 「まぁいいや。今度は周くん抜きで話そうねゆかりちゃん!」 「オイ!」 「ははっ、冗談冗談!」  そう言って、面無くんはシールを持って自分の教室に戻って行った。 「……変なことに巻き込んで悪かったな」  面無くんがいなくなると、紫月くんはぼそりと言った。 「大丈夫。なんか不思議な体験だったけど面白かったし」 「そう言ってもらえて良かったよ。だけど気を付けろよ。基本的に妖怪は悪さをする生き物だから」  そう言って周くんはぐっと眉間にシワを寄せた。 「まぁ、そんな妖怪は俺がすぐに送還するけどな」 「……うん」 「宮下。明日、うちに来るの忘れんなよ」 「うん。ちゃんとお守り取りに行くから」 「よろしくな」  私と紫月くんは、そのままそれぞれの教室に戻って行った。
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