0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
鍵盤から手を離し、余韻を待った後で拍手が聞こえた。
ひとり暮らしの部屋には尚弥しかいない。
拍手の主はメトロノームだ。
「音の強弱を意識するとより良いですよ」
メトロノームは続けて流暢に喋る。
子どもの頃はテンポを刻むだけだったこの機械は、AIが搭載されたことで「先生」になり得る。
テンポはもちろん、譜面通りの演奏が出来ているか、どこで間違えやすいかも記録して教えてくれる。
ピアノと連動させればどんな曲でも弾いてくれるし、その技術はプロのピアニストを凌ぐとも言われる。
楽譜が読めれば、もはやピアノ教室は必要ないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!