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「ピアニストにならなくて良かったのかもしれないな」
尚弥が何気なしにこぼした言葉に、高槻は痛そうな顔をした。
「装像アイを続けるの辛くなった?」
「いや、仕事だし。ピアノとこれは別だろ」
「でも……」
「ピアノもさ、今はAIが弾いた作品集が流通してるだろ。人がやるには金がかかる内容はAIに取って代わられるよ」
「それなら、尚弥のピアノは仕事にしなくて良かった」
「おい高槻、ここ職場」
少し水分量が増えた高槻の瞳に気付かないふりをして咎める。
尚弥、と呼ぶのはピアノ教室時代の名残で、おなじ会社に就職してからはお互いに苗字呼びに直したのだ。
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