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佐野智哉さんと早瀬静さんの二人組は、私の大学では知らない人がいないほどの有名人だ。ともに容姿端麗、成績優秀、ご両親は裕福な資産家ときている。才能と努力を掛け合わせると、こうも抜きん出た存在になるのか、という見本のような人たちだ。幼馴染みのふたりが並んで歩く姿は美しく、見れば思わず姿勢を正してしまう。
彼らは法学部の三年生で、文学部一年の私が関わりを持つ機会はない。それでも、彼らを見かける度に、華やいだ気持ちになる自分がいた。
佐野智哉さんは細身で、すらりと背が高い。ダークブラウンのショートヘアに、シルバーのメタルフレームの眼鏡が理知的な印象だ。一方で顔立ちは甘く、意外とよく笑うので親しみやすさもある。いかにも女性にモテそうだ。シャツにパンツというシンプルな格好の時が多いけれど、スタイルが良いからだろうか、とてもお洒落に見える。
早瀬静さんも長身で、メリハリのある女性らしいスタイルをしている。私は背が低くて痩せているので、彼女のグラマラスな体型は羨ましい。長く艶やかな黒髪を低い位置でまとめて、ロング丈のワンピースを着こなす姿も大人びていて素敵だ。
佐野さんとは対照的に、早瀬さんはあまり表情を変えない。目鼻口が完璧なバランスで配された顔立ちは、黙っているとちょっと冷たい印象を受ける。それでも、たまに、彼女の切れ長の瞳が細められるところを目にすると、同性の私でも胸をときめかせてしまうのだった。
詳しくは知らないけれど、きっとふたりは恋人同士なのだろう。あの心を許し合った雰囲気は唯一無二といえるもので、他の人では代わりがきかない。
私がまだ出逢えていない関係。
そう、運命のふたりだ。
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