四竜の集結

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***  大きな波がきて、マイルズはボートを漕ぐ手を一瞬止めた。「おっと!」  マサーナが空を見て叫ぶ。 「ラミウスさんが落ちたわ!」    波はそのせいかと思いながら、マイルズは前を向いたまま答える。 「あいつは海の中なら大丈夫だ」    ボートが水平に戻ると再び漕ぎ始めた。  モンティがエンドレス号を別の方向へ向けたため、多くの船がそっちへと流れていくが、ボートに気付いたバレサン艦が追いかけて来ている。しかも砲撃付きだ。近くに弾が落ちるたびにボートが大きく揺れ、身を屈める。 「おっと、今のは大きかったな。落ちないでくれよ、王女さま?」    マイルズが頭を上げると、さっきまで座っていたはずのマサーナがいない。 「マサーナ!」 「船長!」  マサーナが海面に顔だけ出して叫ぶ。手を伸ばせば届きそうな距離にいる。 「そこか! 今助けるぞ」    マイルズが船縁から手を伸ばすと、再び砲弾が近くに飛び込み、ボートが大きく傾いた。「うわっ」  ボートは転覆し、マイルズは海中に落ちた。「マサーナ?」  海面上にマサーナが見えず、海中に潜った。水中で漂っている人姿を見つけ、すぐに泳ぎ寄って脇に抱えて浮上する。 「しっかりしてくれ」 「はい……」    意識があったことに安心し、マイルズは彼女を抱えたままボートに泳ぎ戻ろうとしたが、その瞬間に飛んできた砲弾がボートを真二つに割った。 「あちゃあ……」    蒼白な顔でいるマサーナをこれ以上不安にさせないようにと、マイルズは明るく言う。 「仕方ない、ちょいと距離があるが、泳いでいくぞ」 「あの、さっきは心配させないようにと思って……わたし、実は泳ぎは得意ではないのです」 「うん? 心配いらないさ。オレは得意だ、任せてくれ」    マイルズは側に浮いていたオールを手繰り寄せ、マサーナにつかまらせた。片手でそのオールの先端を握り、もう片方で水を掻く。こんなところで諦めるものか、絶対に岸まで泳いでやる。意思だけは鋼のように強固だった。
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