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四体の竜は海上に浮き、円を描くように向き合っていた。自分の力で光を抑えられず、騒然とする。
「もしかして、この光っている間って、願いを叶えられるんじゃない?」
アッディアが言うと、ガルディクスが意気揚々と反応した。
「それなら、ボスが言っていた世界征服とやらを叶えられるぞ」
「待ってください、これは今後に大きく関わる重要なことです。未来に望みが持てるようにしなくてはなりません」
ラミウスが他の三体を鋭く見回すと、順に意見を言い合った。
「ぼく、今まで通りがいいな。城の寝心地より、やっぱり森の中がいいもの」
「うん、ラミの言うとおりだ。おいらナノ国の風が気に入っているんだ。あそこにいい風が吹かなくなるなんてことになったら困るよ」
「……」
黙っているガルディクスを見て、ラミウスは念押しをする。
「ガルディクス、あなたは降参したはずです。私たちの意思に従ってもらいます」
「ああ、分かったよ、従うさ。だが、どうすればいいんだ?」
ラミウスは辺りを見渡した。ブブルアの岸壁で祈るマサーナとマイルズの姿が見える。耳を澄ませば、祈る声が聞こえてきた。
「あの望みを叶えましょう。誰もが無事に帰る、という望みです」
竜たちは目で肯定の意思を示し、順に願った。
「みんなが無事に帰れますように」
「おっけー。みんな帰れるよ、もちろん無事にね」
「……さっさと無事に帰れ」
「みなが無事に帰途につく、そして、そのために必要なことをもうひとつ――」
ラミウスは、最後に一つ付け足して願った。
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