第七段

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第七段

正月一日、三月三日はいとうららかなる 五月五日は、曇りくらしたる 七月七日は曇りくらして、夕方は晴れたる空に、月いと明く、星の数も見えたる 九月九日は、暁がたより雨少し降りて、菊の露もこちたく、覆ひたる綿などもいたく濡れ、移しの香ももてはやされて つとめてはやみにたれど、なほ曇りて、ややもせば降りたちぬべく見えたるもをかし 一月一日、三月三日は、とってもうららかだったっけ 五月五日は、日中は曇りかな 七月七日は、日中は曇っていたけど、夕方には晴れて、夜になると空には月が浮かんで明るく輝いて、星もたくさん光ってたって記憶 九月九日はというと、明け方からちょっとだけ雨が降って、菊の花にはたっぷりと露が付いててね かぶっている綿もびっしょりと濡れていて、菊の花の移り香が濃いように匂うのだもの 早朝には雨も止んで、曇っている時なんかも、もうじき雨だなってわかるのも、雨の匂いがほんのりとして なんだかときめいちゃうって、思わないでもないのよね
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