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それから鳴海くんは出勤していった。
しばらくリビングでぼーっとしてから、我聞の鼻をつまんで起床させた。
「…なんで萌奈がここにいるんだ? あれっ?おれのメロンはどこだ?」
すでに私と鳴海くんのお腹に入ったメロンを探し始めた。
「我聞、その調子だと昨日の記憶はないわね?」
「…俺、なんかした?」
「言った」
「なんて言ってたのっ?」
「教えない。鳴海くんがいつかその口を縫合するって呪ってたよ」
「いやーっ、痛いことはきらーいっ」
我聞が二日酔いの頭を抱えて絶叫した。
「鳴海くんに迷惑かけたし、後で謝っといてね。さあ、私たちも帰ろう」
帰りの支度をしながら、私は重要なことに気が付いた。そういえば鳴海くんから鍵を預かっていなかった。
「どうしよう。これじゃ、施錠できないわ」
私が焦ってそういうと、我聞が不思議そうな顔でこう返した。
「ここはオートロックだぜ。好きな時間に帰って大丈夫だよ」
「そっか…よかった…」
納得して、しばらくしてから疑問が頭をよぎった。
オートロックなら我聞も好きな時間に一人で帰ることができる
私は不要だよね
なのに、わざわざ私を誘ったのは、なぜ?
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