何度でも恋におちる

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我聞へのお土産と一緒に私はソフトクリームを買った。それを食べながら下ってゆくと、そこにリフト乗り場があった。 「藤川、リフトに乗ってみない?」 鳴海くんが誘ってくれた。 「うんっ。乗りたい!」 私は元気に返事をした。 混雑はしていたけど、少し待ったらリフトに乗ることができた。リフトは二人乗りで私の左側に鳴海くんが乗り込んだ。私にとって初めてのリフトだ。乗って気が付いたけど、このリフトには遊園地ではみるような安全バーがついていなかった。つまり乗ったら脇の手すりしかつかまることろがない。  スリル満点じゃないの! 私には恐怖心はなく、むしろワクワクでいっぱいだった。そしてそのままリフトは前進し一気に下界の視界が開けた。 「気持ちいいー!すっごい解放感!   手を広げると鳥になった気分!」 私はソフトクリームを持っているのも気にせず、両腕を広げ風を感じた。九月の下旬は眼下にみえる緑もまだまだ清々しかった。時より頬を撫でるカラっとしたか風がなによりも心地よかった。  これは最高だー! 始めは地面に近かったリフトが徐々に高さを増してゆく。  高い! 眺め最高! 私は興奮して子供のように足を振って楽しんでしまう。すると振った反動で乗っているリフトが大きく揺れてしまった。 「すっごい揺れるー。これ、楽しいねっ」 そう、私はこういうのは嫌いじゃない。むしろ、好きな方だった。そういえば鳴海くん、さっきらから無言だ。 「鳴海くん?」 真横にある頼りない手すりを握りしめ、背当てにピタリとくっつく鳴海くんが真顔で私を見つめていた。 「…もしかして…鳴海くん、怖い?」 「…かもしれない。揺らさないで」  綺麗な瞳がキュルキュル潤っている。   こんな鳴海くんの姿を見たことがない。  か、かわいいーっ! 「鳴海くんの弱点、見つけちゃった」 童心に戻ってしまった私はさらに足を振ってリフトを揺らした。 「やっ、止めろって、藤川っ」 必死の形相で手すりにしがみつく鳴海くん。 「じゃあ、これが最後の一回ねっ」 この私の悪乗りがスイッチになったらしい。 私が足を振ろうとした、その瞬間――――――― 「っ――――!!」 私は真横から鳴海くんに強く抱きしめられてしまった。 手すりを離した鳴海くんが両腕で私を強く捉える。抱き付かれた勢いで後方へ倒れ込む私を、逃がさないというように腕の中に閉じ込めくる。鳴海くんの顔が私のすぐ上にあり、ピタリとくっついていた。  …………ど、どういう状況? 一瞬で私の心臓が早鐘で打ち始めた。この密着度なら、私の鼓動が鳴海くんにばれているにちがいない。そう思うとさらに顔が熱をもってしまった。 「…あの…鳴海くん?」 「離したらまた揺らすだろ」 「…もう、しない。ごめんなさい…」 「信じない。だから、離さない」 いっそう強く抱きしめられた。息が苦しいけど顔を上げたら鳴海くんの顔とバッティングしそうでできない。 更に赤面状態になるのを想像すると、このまま鳴海くんの胸の中に納まっているほうがましかもしれないと思った。 このままでいいのかな だけど…温かい… 包まれる安心感 気のせいか鳴海くんの体温もどんどん上昇している。私は頭がぽわーっとしてきて、幸せで涙が出そうになった。  こんなことをされたら…  私はまた勘違いをしてしまうよ…
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