私を守るひと

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俺は医局で売店で買ったサンドイッチを食べていた。先ほどの森の提案には返事をしなかった。後ろから「返事は三日だけ待つ」と声が聞こえたが、相手にするわけがない。なぜ嫌いな女性と宿泊しないといけないんだ。たとえお金を積まれても断るぞ。 噂の真偽はともかく、このままだと森が藤川を陥れるために、噂話を流しかねないと思った。 サンドイッチを食べ終えてゴミをまとめながら考える。まとめたごみをゴミ箱にポイっと投げたら外れてまい、病理の片倉先生の足元に転がってしまった。 「あっすみません。今、拾います」 俺は急いで腰を上げてゴミを拾っいにいった。 片倉医師は振り返りもせずパソコンに向かっていた。 そして、あることを思い出した。 病理医 片倉小次郎は、普段は寡黙でオタク気質のある医師。 意外な趣味をもっており、その趣味に太鼓判を押す医師もいる。どんなに複雑な状況でも情報を時系列でまとめあげ、その内容はかなり信憑性が高いとの噂だった。俺はダメ元で片倉先生に頼んでみようと考えた。 「あの…片倉先生。お願いがあるんですが…。先生の情報にはかなりの信憑性があって素晴らしいとお聞きしました」 残念ながら片倉先生の反応がない。しかし、俺は諦めずに片倉先生の背中にむかって話を続けた。 「4A病棟の森環奈さんの相関図を教えてもらえたら助かるんですが…。あ…でも…こんなお願い、やっぱり無理ですよね?」 そうだよな、忙しい医師にこんな下世話なお願いをするなんてナンセンスだよな。俺が諦めかけたときだった。今までパソコンを弾いていた片倉先生の指がピタッと止まった。 「片倉先生…?」 「……鳴海先生、何をおっしゃっているのやら。僕はね、院内のくだらない恋愛事情が…」 片倉先生は急にくるりと椅子を回転させて俺に向かい合った。そして、 「大好物なんだぞ♡」 満面の笑みで了承してくれた。 「受けてくださるんですかっ!助かります!」 下世話で怒られるかと思たが、ノリノリでよかった。こんなこと、片倉先生にしか頼めないもんな。 医者の極めて高度な情報収集能力と情報処理能力を掛け合わせたら、もう最強。きっと漏れのない相関図が組み立てられるだろうと俺は思った。
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