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「今日は日勤のあと勉強会なの」
「じゃあ夕飯の当番は俺だな。何がいい?」
「蒼真が作るアサリパスタ! あれものすごく美味しかった」
「OK」
「お弁当は持った?」
「萌奈がカバンに入れてくれた」
「そうだった」
「じゃあ、出勤しますか」
部屋の電気を消灯し私は鍵を手に取った。
私たちは今、蒼真のマンションに一緒に住んでいる。3LDKの広い部屋だったから、すんなりと同居生活も始まった。
私は鳴海くんを”蒼真”と呼ぶようになった。
なぜってこれは同級生あるある。恋人同士なので夜は同じベッドで眠る。当然セックスをする。その時に「鳴海くん」ではあまりにも色気がなく、逆にとんでもなく恥ずかしくなった。だから自然と名前で呼び合うようになった。
私たちの新章は大人への階段を上ったわけなのです。
病院まで徒歩十分の距離を私たちは並んで出勤する。
「腹腔内視鏡もさロボットアームで操作する時代になったんだよ」
「ロボットでオペ? すごいね」
「なんかさ、ロボ研を思い出すんだ」
「ロボ研、まだ活動してるのかね」
「文化祭では結構人気のブースだって聞いたよ」
「今でも楽しく活動しているといいね。あの頃の私たちみたいに」
「そうだな」
あの頃、同じ時間を過ごしたからこそできる会話。それが今も繋がってこうしてあなたと一緒の時間を過ごせている。なんて素敵な生活なのだろう。
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