17-8

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 エントランスのそばに、タクシーが停まった。これから家に帰る。俺が持ち帰るのは、お菓子が入った紙袋だけだ。お味噌や出汁などの重いものは、黒崎が持って帰って来る。少しぐらい平気なのに。 「寄り道をせずに、真っ直ぐに帰るんだぞ。着いたら連絡して来い。買い物はないだろう?」 「ううん。スーパーに行きたいんだ。マンションの前の」 「そうか。早めに帰るようにする。一緒に行こう」 「一人で行けるよ」 「だめだ。まだ慣れていない」 「うん。深川さんと早瀬さんによろしく。あれ?聡太郎君だよ」 「……社員システムの登録だろう」 「じゃあ、先に帰っているからね」  タクシーに乗り込んだ後、窓を開けて、黒崎に手を振った。聡太郎がエントランスへ入って行く後ろ姿を眺めると、早瀬さんが出て来て、彼に声をかけていた。さらに黒崎が加わり、3人で話し始めた。その後ろ姿を頼もしく思いながら、我が家へ帰って行った。こうして一日が過ぎていった。
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