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いつもより何倍も長いキスが終わると、アンリはハッとしたように目を見開いた。
「ご、ごめん、本当に。こんなことするつもりじゃなかったんだ。」
アンリの額から汗が浮かんだと思ったら、それは一枚の花びらになった。
「ごめん本当に……。イリスのこと大切にしたいのに。」
「大切にされてると思ってるよ。」
「でもこんなことして……本当にごめん。今日は寝るよ。」
アンリは思い詰めた表情で自室に行ってしまった。アンリからこぼれた花びらだけがいくつか残っている。
男の人はキスをしているとこんな風になってしまうものかもしれないとイリスは思った。意思関係なく身体が求めてしまうのだ。
医療行為がキスだなんて厄介なものだ。自分を責めなくてもいいのに。
傷ついた表情のアンリを思いだして、イリスもため息をついた。
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