計画書とアンケート

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計画書とアンケート

あー よく寝た 朝日を浴びて 、優希は 清々しい気持ちで満ち足りていた。まるでホテルのような大きなベッドのある病室から外の景色を眺める。 いい天気 こんなに 朝から ゆっくりできたのは久しぶりだな いつもなら 朝から洗濯して、食事の準備して、 まるで戦争状態なのに、時間ってこんなにゆっくり流れるものなんだと優希は久しぶりに実感した。 「おはようございます 。朝食の時間です」 朝から元気いっぱいの高橋さんが入ってきた。 「優希さん、今日はシェフのおすすめフレンチ  モーニングコースですよ。  紅茶がいいですか、ジュースにします?」 「自分でやるからいいよ」 「遠慮なんてしないで下さい。私 上手に紅茶入れ  ますから。たまには人に甘えてもいいんですよ」 うわ……感動する 高橋さんが紅茶を用意してくれる後ろ姿を見て、 泣きそうな自分がいる。 「あれ 紅茶 嫌だった?ジュースがいい?」 慌てる 彼女を見て、私は「ありがとう」と言うのが精一杯だった。こんなことで涙が出るなんて 私は心の底から疲れていたのかな…… 「昨夜はよく眠れましたか」 顔を上げるといつの間に入ってきたのか、 逢沢先生がベッドの横に立っていた。 「おはようございます。  おかげでぐっすり寝れました」 まだ この人を信用することはできないが 、 とりあえずお礼を言っておこう。 「本日 火曜日、ご主人がお見舞いに来る予定です。  普段通りに接してあげてください」 「え、嫌だ」 「そう言わずに」 「だって、不倫した夫なんて 会いたくないです」 「不倫かどうかは、まだ分かりませんが」 「あの、これだけ 証拠 そろってますけど。先生も  昨日、 2人でいるとこ見たって言ったでしょ⁉」 「落ち着いて下さい」 切れた私に 、逢沢先生は 淡々と説明した。 「不倫は、既婚者が妻以外と肉体関係を持つこと      です。これを『不貞行為』と言い、証明できれば  慰謝料の請求も可能です。  これに対して浮気は独身者でも既婚者でも恋愛  感情を持つことを指します。キスやハグ、メール  のやり取りだけでは浮気の範囲を超えず、不倫と  は言えないんです」 そうなの 、知らなかった。でも納得できない 眉間にシワがよった優希の心を察してか、 逢沢先生は 「法律の定義から離れてしまえば 『浮気は遊び、不倫は本気』で、説明してくる人  いますけどね。  まずは、ご主人の気持ちを聞いてみましょう。」 遊びか本気。  上等じゃない それから 大介は毎日見舞いに現れた。 「何か食べたいものある ?欲しいものあるか」 と優希をいたわってるように見えるが、 医者から「虫垂炎だ」って聞いてるんでしょ 消化器系の病気なんだから、食べられるわけない じゃない! こいつ、私のこと本気で心配なんかしてないな そう思ったら余計に腹が立って、大介をさっさと 追い返した。 今まで気づかなかったけど、 心と体に余裕ができ ると見えてくるものがあるんだな…
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