最高で最低の日

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よし、できた。今夜の夕食は、結構豪華じゃない? 我ながらよくできた料理を、机に並べながら時計を見る。もう20時半。今日は日曜出勤だった。 もう…二人とも遅いな 息子の翔は中学三年生。受験生だというのに、本人に自覚はなく、勉強もせず遊びに行ったようだ。 苛立ちながらLINEしたら「もう食った」と1行だけの返信が返ってきた。 ああ、そうですか!! 夫の大介にも同じLINEをしたけど、既読もつかず… 私も昔、同じ職場だったから土日も忙しいのはよく分かってる。 けれど、今日ぐらい早く帰ってきてくれてもいいのに。なんだかむなしい。 昼間のこともあってか、今日はやけに新婚の頃を思い出す。そういえば、最近夫婦の会話も、子どもとの会話もない。私が話しかけても、聞いているのかいないのか、特に大介は、「好きなようにやれば」と、全部私に丸投げしてくる。 それで「オレは理解ある夫」とか思っているんだろうか。むかつく…。優希が悶々と考えこんでいると、携帯電話のLINE通知が鳴った。大介だ。 もしかしたら、私の誕生日思い出したのかも! 淡い期待を込めて画面を見ると、 「ごめん 仕事の打ち上げで食事会」 「今日 帰れないかも」 あっそ!! 優希は携帯をソファに放り投げた。 一人ぼっちの誕生日。そう思ったら、急に涙がにじんできた。顔を拭こうとティッシュを取りに行ったら、箱の下に置いてある小さなチラシを見つけた。 数日前に買ったロロトくじのチラシだ。 先日、久しぶりに会った学生時代の友人に教えてもらったものだ。 「今、私、すっごいハマってるの。優希もやって  みなよ。面白いよ。毎日がドキドキする」 その楽しそうな姿に背中を押されて、優希もついついコンビニで一緒になってくじを購入したのを思い出した。 そういえば、発表が今日だったかな? 三千円位当たってるといいな。 サイフに入れっぱなしのくじを出した。 携帯のホームページから当選番号を探す。少し期待を込めながら画面を開き、14桁の番号を目で追っていくと… うそ、当たってる…… 何と、自分の買った番号がある。 何度も番号を確認する。 指でなぞりながら確認する。 声に出して読みあげる。 間違いない。1等の当選金額は一億円だ。
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