大切な思い出

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――どこかにないのかな…。 試しに…と思って「表示」のタブから「隠しフォルダ」を押してみた。 何もあるはずがないと思っていたのに、一つのフォルダが現れた。 鼓動が速くなる。 …何これ? 私は作った覚えがない。 そのフォルダにはロックがかけられているようだった。恐る恐るクリックすると「パスワードの入力」と表示が出た。 …何だろう? 何が入る? 『スカイ』――パスワードが間違っています。 『アイリス』――パスワードが間違っています。 何となく自分の名前なら開くと思ったのに、不意をつかれ、落胆する。 まさか修理会社がこのフォルダを作ったの…? 何の為に…? 私は修理会社からのメールをもう一度確認した。 何かフォルダについてとか、パスワードについて書いてない…? 曖昧に読んでいたメールをもう一度確認すると、最後の方に気になることが書いてあった。 『お預かりしたアンドロイドの衣類の中に、紙が入っていたので、そのままお返しします』 私は急いで箱の中の緩衝材に手を入れ、かき分けるように探った。そして小さめの透明な袋を見つけた。 「これは…」 中を開け、ハッとして思わず口を抑えた。 震える手で、少ししわになった二つ折りの紙を広げる。 『アイリス 愛してる』 見覚えのある字だった。 「アイリス」の文字は私の字…。 「愛してる」は…図書館で見た手紙の字だった。
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