第六章 下校・パニック!

6/6

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「危なかったな。気づくのが遅くなってすまない」  三条くんはメガネをかけて、ふうとため息をついた。はなのんたちに聞かれないように、声をひそめている。  そっか。ルイルイを正気に戻して、はなのんのフォローまでしてくれたんだ。 「……あの、ありがとう、三条くん」 「ああ」 「ピュア恋のセリフ、よく知ってたね」 「原作を読んだことがある。面白かったぞ」 「へー、三条くん漫画読むんだ。意外。ガリ勉だと思ってた」 「ガリ勉……⁉ おれはそんな印象が……⁉」  あ、またまた三条くんが傷ついてしまった。三条くんの傷つくポイント、よくわかんないな。  わたしはくすっと笑って、それから前を向く。  はなのんとルイルイは、また笑いながら歩いていた。わたしのせいで、あのふたりの関係が壊れちゃうところだったんだ……。 「わたし、サングラスで目を隠してたのに」 「マジモノの力が、強まっているのかもしれない。はやく祓わないと、悪化するぞ」  三条くんは真面目な声で言う。  ……そうなのかもしれない。  みんなに好かれるのはうれしいけど、この力は、危険だ。ひとの気持ちを、勝手に変えてしまうなんて。このままじゃ、いけない気がする。 「――三条くん。わたしのマジモノ、祓ってくれる?」  わたしは決心して、三条くんを見上げた。三条くんは、すこしおどろいた顔をしてから、しっかりとうなずく。 「ああ。任せろ」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加