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第七章 ダサいメガネコンビ・解散?
マジモノを祓う。そう決めた、つぎの日。
わたしはいつもみたいに走り込みをしてから、学校に向かった。目を隠すぶあついメガネは、お父さんに新しいものを買ってもらった。しっかりかけて、教室の扉を開ける。
「おはよー」
(あれ?)
入ったとたんに、なんだか教室の空気がいつもとちがうことに気づく。なんだろう……、なんか、みんなそわそわしてる?
「おはよう、エナさん」
「あ。三条くん。おは……」
ん、んんんっ⁉
わたしは三条くんを見て、目が飛び出すんじゃないかってくらい、おどろいた。
「三条くん、それ、どうしたの……⁉」
「買い換えた」
ちゃきっと、三条くんがメガネの位置を直す。でもそのメガネは、昨日までのダサいメガネじゃない。
黒縁の細いフレームがおしゃれで、三条くんの切れ長の瞳がちゃんと見える。なんというか、すごく、かっこいいメガネだったのだ……!
「え、あのダっサいメガネは⁉」
ついつい身を乗り出して聞いてしまう。三条くんは、うぐっと眉を寄せた。
「……ダサいと思われていたとは知らなかったんだ」
「鈍感だもんね」
「そんなことはない……はずだ」
いや、どう考えても鈍感だよ、三条くん。
「で、そのメガネどうしたの?」
「ちょうどメガネを新調しようと思っていたから、店員オススメのメガネにしてみた」
「まじ?」
「まじだ」
おお、三条くんが「まじ」って言った。似合わないな、そういう言葉……。
「ていうか、けっこう気にしてたんだね。ダサいって言われたの。からかってごめんね?」
もしかしたら三条くんの心を、めちゃくちゃに破壊してしまっていたのかもしれない。申し訳なくなったわたしに、三条くんは首をふる。
「いや、問題ない。それで、どうだろうか、このメガネは……」
不安そうにわたしを見てくる三条くん。わたしはぐっと親指を立てた。
「かっこいいよ! 人気モデルのエナちゃんがお墨付きをあげる!」
「そ、そうか。よかった。エナさんが言うなら、安心だ」
ほっとした三条くんは、切れ長の瞳を細めて笑った。あ、その顔、すてきだ。ていうか、わたしの言葉で安心するって、なにそれ、かわいいのでは……⁉
と思った瞬間、遠巻きに見ていた女の子たちが「きゃあ!」と黄色い声を上げた。
……なるほど。教室がそわそわしていたのは、三条くんに対してか。
「んー、いいんだけど! べつに、いいんだけど!」
わたしは頭を抱えた。なんかこう、モヤモヤする!
かっこよくなっちゃって、もう、三条ソウマめ!
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