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「……まじめに探してくれないか」
「だってー、ほら、見て。天使じゃん」
ちまっと小さなわたしが笑顔で表紙を飾っている。幼稚園のときだったかな。わたし、けっこう長い間モデルやってるんだよ~。
「お父さんがね、わたしが雑誌に出たところ、全部データで残してくれてるんだ~」
三条くんからスマホをうばって、操作する。お父さんのつくった、『エナ・お仕事特集』ってフォルダには、モデルとしての写真ばかりが入ってる。
「これは一年生のとき。で、こっちが二年の春!」
次々とスライドさせて、写真を見せていく。だだだーっと、三条くんが文句をつける暇を与えず、最近の写真までたどりついた。
「ね、どうどう? わたし、かわいいでしょ?」
おまじないの力だけで人気になったわけじゃないんだからね!
三条くんはじっとスマホを見ていた。
「ふむ。興味深いな」
ん? 興味深い?
「……かわいいじゃなくて?」
わたしのじとっとした目にも気づかず、三条くんはふむふむ、うなずいている。……かわいいって言ってくれないのね。あー、はいはい。そうですか。
なによ、興味深いって!
はあ~、と深いため息をつく。どうやったら、かわいいって言ってくれるんだよー、もう!
「エナさん」
「んー?」
「二年生の写真を、もう一度見せてくれ」
「へ?」
首をかしげるわたしに、三条くんは真剣な顔で言う。
「二年の夏ごろだ。そこから、おまじないの力が瞳に宿っているように見える」
わたしはきょとんとする。それから、はっとした。
「に、二年ね。了解!」
写真を探して見せると、三条くんはうなずいた。
「やはり、このあたりだな。マジモノの暴走とまではいかないが、おまじないの力がある」
「へえ。でもこのとき、おまじないなんてしたかなあ……?」
低学年のときは、いまより夢見がちだったから、おまじないも好きだったけどさ。いちいち覚えてないよ。
「小さなことでもいい。思い出してくれ」
「そう言われてもねえ……」
「写真はこれだけしかないのか?」
「家には、ほかのデータもあるかもだけど、わかんない」
迷いながら言うと、三条くんはがしっとわたしの肩をつかんだ。
「では、見せてくれ」
「えええっ、やだよ。アルバムなんて、学校に持ってくるの重いし!」
「なら、明後日、おれがエナさんの家に行く」
明後日……? あ、土曜日か。
「って、三条くんがうちに来るの⁉」
思わず叫んだわたしに、三条くんは首をかしげた。
「なにか用事があったか?」
「い、いや、ないけどさ……」
土曜日に家に来るなんて、お家デートみたいじゃない⁉ 女の子を家に呼んだことは何回もあるけど、男の子ははじめてだよ!
「じゃあ、明後日。よろしく頼む」
わたしが戸惑っているのも気づかないのか、三条くんはサクサクと決めてしまった。
「う、うん。わかった」
え、どうしよう。なんか、緊張するんだけど……!
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